歯周病(歯槽膿漏)を治す

歯周病は治るのか?

歯周病は治るのか?

患者さんによく聞かれることの一つに「歯周病は治りますか?」と聞かれることがあります。この答えとしては、「はいでもあり、いいえでもある」ということになります。その理由は定義や考え方によって異なるからです。

歯周治療の方法やどのように改善されていくのか?という話の前に、歯周病は何をもって治るというのか?という前提をお伝えします。

何をもって、歯周病は治ると言うのか?

当院の考え方としては治癒はあっても完治はない。というのが歯周病に関する考え方です。

歯周病は歯周病原菌によるお口の病気であり、その歯周病原菌は常在菌であることから駆逐することはできません。したがって、いつでも誰にでも再発するリスクが存在しているため、完治はない。という見解です。

では、何をして治ったというのか?というのは、健全な口腔内を取り戻した時を治ると言えると考えます。健全とは歯周病に関する症状がなくなり、引き締まった歯茎や失った機能を取り戻した状態です。

その後もプラークコントロールが良好な状態を続けることで、歯周病を予防し、長期に渡って良好な状態を維持することが歯周治療には求められます。

当院の歯周治療の特徴

歯周病という病気とご自身のことを理解していただく

歯周病という病気とご自身のことを理解していただく

歯周治療を進めていく上で重要なことは、治療に患者さんも参加していただくこと、そして治療後もご自身の歯を大切にしていただくためにセルフケアやメンテナンスをけいぞくしていただくことです。

歯周治療は一般的な治療に比べ時間を要することも多い上に、再発のリスクが常に付きまとうので、患者さんの意識を高めていただき、歯周病という病気を十分に理解していただくことが大切であると考えています。

患者さんとのコミュニケーションに豊富な時間を取り、丁寧な説明と信頼関係の構築を何よりも大切にしています。

歯周基本治療を重要視

歯周基本治療を重要視

歯周基本治療は、口腔内を歯周病原菌に侵されない口腔内を作り出すことを目的とした治療です。

まずは患者さんご自身でのプラークコントロールの質を高める必要があります。それは、歯科医院で治療をするよりもご自宅で歯磨きをすることのほうが多いからです。

プラークコントロールがきちんと出来た段階で、歯石やプラーク(バイオフィルム)を徹底して除去していきます。徹底した管理を行うことで、歯肉が引き締まり治癒へ向かいます。

当院ではむやみに歯周外科治療は行いません。まずは歯周基本治療をしっかりと行い、再評価を経て外科治療を必要とするか否かを判断していきます。

技術力の高い歯科衛生士がお口を管理

技術力の高い歯科衛生士がお口を管理

歯周治療は歯科医師が行うものとお考えの方が多いと思いますが、実は歯周治療に一番関わる時間が長いのは歯科衛生士です。

歯科衛生士の知識や技術力が歯周治療の成功に密接に関わります。

当院には日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会のダブルライセンスを保有する歯科衛生士を筆頭に、指導医である院長に教育を受けた歯科衛生士があなたのお口をしっかりと管理していきます。

歯周病の治療について

歯周病の検査

歯周ポケット・歯肉退縮量・クリニカルアタッチメントレベルの検査

歯周ポケット・歯肉退縮量・クリニカルアタッチメントレベルの検査

歯周ポケットの深さ・歯肉がどれくらい退縮しているか?歯周組織がどれだけ破壊されてしまっているか?など、状態を正確に把握するための検査になります。

歯周病の進行度合いを判断するために大切な検査となります。

歯の動揺度をチェック

歯の動揺度をチェック

歯の揺れ具合を、どの程度どの方向に動くかを検査します。

歯周ポケットの測定と動揺度の計測を行うことdえ、歯周病の進行度合いを確認することができます。

レントゲン撮影

レントゲン撮影

パノラマレントゲンと呼ばれるお口全体の状態を把握するものと、デンタルレントゲンと呼ばれる歯を上下にブロックで撮影し、より詳細な情報を得るために行います。

主にデンタルレントゲンで撮影した写真を用いて、骨の量などを確認していきます。

口腔内写真の撮影

口腔内写真の撮影

口腔内写真の目的は、レントゲンでは再現できない歯茎の状態を見るためです。

術前や再評価時に撮影することで、どれだけ改善しているかを患者さんご自身に確認していただくことができます。

視覚的に確認できることはモチベーションにも繋がります。

模型による検査

模型による検査

歯周病の進行因子として、噛み合わせの問題があります。

模型審査をすることで、過剰な負担がかかっている歯がないかを確認していきます。

調整が必要な場合には、咬合調整を行います。

歯周基本治療

プラークコントロール(セルフケア)を徹底する

プラークコントロール(セルフケア)を徹底する

歯周病の原因となる歯周病原菌はプラーク(バイオフィルム)内にいます。

このプラークを日々除去することが歯周治療の第一歩となるため、歯科衛生士が丁寧にブラッシングの指導を行います。

磨き残しが起こりやすい部分やブラッシングの癖によって磨けていない部分などを可視化し、通院ごとにブラッシングの質が高まるようにサポートしていきます。

プラークコントロールの質が高まれば、その分治療の進行もスムーズになります。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)で歯石やプラークを一掃する

プロフェッショナルクリーニングで歯石やプラークを一掃する

歯科衛生士によるSRPによって歯石やプラークを一層(スケーリング)し、歯周ポケット内部に歯垢が蓄積しにくい状態にするために汚染されたセメント質を除去し、根面を滑らかにする(ルートプレーニング)処置をします。

歯肉縁上・歯肉縁下にある歯石やプラークを取り除くことと、セルフケアの質が高まることで、歯肉炎や軽度歯周炎であれば歯周病は改善します。

歯周病の原因を除去するという意味では非常に重要な処置になります。

歯周基本治療で必要になる場合がある治療

咬合調整

噛み合わせの問題によって、過剰な負担がかかっている歯がある場合、噛み合わせの高さなどを調整し、バランス良い噛み合わせにしてあげる処置です。

歯に負担をかけることが歯周病の進行因子になりますので、模型診査で得られた情報を元に調整を行います。咬合性外傷と呼ばれる噛み合わせによって起こる問題を予防する意味でも大切な処置です。

暫間固定

暫間固定は文字通り、しばらくの間歯を固定することです。

目的としては歯の動揺度が強い場合、歯を固定することで噛む力やブラッシング時にかかる負荷に耐えられる状態にします。

咬合性外傷の予防にも役立ちます。

歯列矯正(矯正治療)

歯周病は歯を支える骨を溶かしていく病気です。歯がぐらつく原因は歯を支える歯槽骨が溶かされることで起こりますが、歯周病が重度にまで進行すると歯は動きやすくなり、病的に移動してしまいます。

歯列不正であることが理由で、歯周病を更に悪化させる原因になる他、噛み合わせが悪くなり更に歯への負担をかける悪循環に陥るケースがあります。

そういった問題を回避し、審美的な回復をする目的としても歯列矯正には大きなメリットがあります。

不良補綴物のやり替え

不良補綴物(インレー・アンレー・クラウン・義歯など)は、プラークの蓄積を許してしまいます。そのため、不良補綴物のやり替えというのは、歯周治療の中でも重要です。

原因を除去する目的である歯周基本治療では、このような不良補綴物を発見し、治癒を阻害してしまう要因をなくしていくことが求められます。

歯周外科治療

歯周外科治療

歯周外科治療は、歯周基本治療で改善しなかった場合にのみ行います。

外科治療は少なからずとも患者さんの負担になりますので、あくまでも歯周基本治療で改善しなかった場合に限ります。

歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)

歯周基本治療で改善が見られなかった場合(5mm以上の歯周ポケットが残存する場合)は、器具が届かない場所に歯石やプラークがあることを疑います。

その場合は歯肉を剥離し、根面を露出させてSRPを行います。歯石やプラークを徹底して取り除いた後、剥離した歯肉を縫合します。このフラップ手術時に歯を支える骨が大幅に溶かされてしまっている場合、溶かされた骨を回復することができないため、歯周組織再生療法を行います。

歯周組織再生療法(エムドゲイン)

歯周組織再生療法は、歯周病が原因で失われてしまった歯周組織の回復を目指す治療法です。

歯周外科治療と同時に行いますが、歯周組織を回復させるために誘導薬剤(エムドゲイン)を歯根面に塗布し、回復に必要な細胞を増殖させます。

治療終了後、一定期間が経過した段階でレントゲンを撮影し、組織が回復しているかを確認していきます。歯周組織再生療法により抜歯を回避できる場合があります。

歯周形成手術(根面被覆術)

中等度歯周炎以上の歯周治療をして歯茎が引き締まると、歯茎が下がり隙間が空いたような状態になることがあります。

せっかく歯周病が改善されたのにも関わらず、次は審美的な問題で悩まれる方がいらっしゃるのは事実です。

そういった方に行うのが歯周形成手術です。その中でも根面被覆術と呼ばれる、口蓋の歯肉をから下がった部に移植する手術を行います。

口蓋が薄い方は治療の対象外になってしまいますが、口蓋に厚みがある方はこの治療で審美的問題を解決出来る場合があります。

歯周組織再生療法の注意点

歯周組織再生療法は万能であるように見えてしまいますが、重度にまで進行しており骨吸収が著しい場合は、組織の再生を期待することが難しくなります。

また、歯周外科治療自は外科手術になりますので、お身体に疾患がある方や持病をお持ちの方は必ずご申告下さい。場合によっては大きな医療事故に繋がってしまいます。

定期メンテナンス

メンテナンス

歯周病は歯周病原菌、つまり細菌によって引き起こされる病気です。

せっかく歯周病が治癒したのですから、再発させないことが必要です。そのために必ずお願いしているのが定期メンテナンスです。セルフケアとプロフェッショナルケアをしっかり行い、プラークコントロールを行うことで歯周病の予防のみならず虫歯の予防にも繋がります。

ご自身の歯を大切にしていただき、出来る限り長くメンテナンスだけで済むように、当院の担当歯科衛生士がいつまでも伴走致します。