歯周病を知る
歯周病という口腔疾患を理解する
歯周病や歯槽膿漏など、言葉を知っている方は多いと思いますが、歯周病を理解している方はどれだけいるでしょうか。
歯周病を治癒に導くためには、歯周病という口腔疾患がどのような病気かを理解する必要があります。
歯周病は歯周病原菌による炎症性の疾患である
「歯周病の原因はプラークである」という言葉を目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
プラークはわかりやすく言うと細菌の塊なのですが、このプラーク内に潜む歯周病原菌が血液などを栄養として増殖し、歯肉に炎症を引き起こします。だからこそ、歯茎から血が出たら歯周病の可能性があります。と言われるのです。
歯周病原菌は嫌気性菌と呼ばれ、酸素を嫌うため歯と歯茎の隙間の酸素が届かない場所で増殖し、歯周ポケットを形成していきます。
炎症は徐々に広がっていき、歯槽骨と呼ばれる歯を支える骨を溶かしていくことで、最終的に歯を失ってしまうことに繋がります。
したがって、この歯周病原菌を除去し、炎症を抑えなければ歯周病は治癒しません。
レッドコンプレックスという歯周病原菌を知る
レッドコンプレックスは
- P.gingivalis
- T.denticola
- T.forsythensis
と呼ばれる3菌種のことを言います。
この細菌の中でP.gingivalisが最も増殖する歯周病原菌であるとともに、口腔内に存在する常在菌であることもわかってきました。
このP.gingivalisは血液中の鉄分を栄養分として増殖していき、歯周組織を破壊していきます。そのため「歯茎から血が出たら歯周病を疑いましょう」というわけです。
プラーク(バイオフィルム)に歯周病原菌は住んでいる
P.gingivalisが栄養得て増殖することで、プラーク(バイオフィルム)は病原性を高めます。
このプラークを取り除くまで、歯周病原菌と歯周組織の闘いは終わりません。つまり歯周治療を開始しなければ、どんどん歯周組織は破壊されていきます。
だからこそ、歯周病の原因はプラークであると言われ、プラークコントロールが必要であると言われる所以です。
歯周病はひどくなるまで目立った症状がない
虫歯は痛みがあるため虫歯であると気づきやすいのですが、歯周病は中等度以上に進行しないと目立った症状がありません。そのためサイレントディジーズ(静かなる病気)と呼ばれています。
最初は歯茎の腫れ、歯茎から出血することから始まりますが、現在歯茎が腫れているのか?この出血の原因は歯周病なのか?口の中がネバネバするけど、大丈夫なのか?判断がつきません。
そのため多くの方が放置してしまい、中等度以上になってから、歯がグラグラする・歯茎が下がった気がする・痛くて歯を磨くことができないといって歯科医院に来院されます。
以前とは違う症状を感じた場合、早めに治療することが重要ですが、わかりにくいので下記のチェックリストを参考にしてみてください。
歯周病のチェックリスト
- 強く磨いていないのに歯茎から血が出る
- 歯茎が腫れぼったい感じがする
- 朝起きたら口がネバネバする
- 口臭が気になる
- 歯が長くなった気がする(歯茎が下がった気がする)
- 歯がグラグラする
- 食事が噛めない、噛みにくい
- 歯並びが悪くなってきた
歯周病のチェックリストとして、ご活用ください。リストの内一つでも当てはまったら歯科医院へ行きましょう。問題がなければ安心できますし、問題があればすぐに治療を開始することができます。
歯周病は誰でも罹患する可能性がある
歯周病は歯周病原菌による炎症性疾患であるというのはご理解いただけたかと思いますが、その歯周病原菌は常在菌といって、普段は悪さをしない「いつもお口の中にいる菌」なのです。口腔衛生状態が悪くなることで、普段悪さをしない常在菌が歯周病原菌になってしまうのです。
したがって、誰にでも歯周病に罹患する可能性がある。ということを強く認識していただきたいと思います。